「ビザ(在留資格)の更新手数料が、今後は3〜4万円台になる見込み」
「永住許可は10万円以上になるかもしれない」
この変更は、
- 日本で生活する外国人本人・家族にとっての家計負担
- 外国人材を雇用する企業にとっての人件費・採用コスト
- 在留管理の運用方針そのもの
に影響する大きなテーマです。本記事では、2025年11月時点で公表・報道されている情報を整理しながら、
- 在留資格手数料は「いつ」「どのくらい」変わる可能性があるのか
- その背景(なぜここまでの大幅値上げなのか)
- 個人・家族/雇用企業が今から準備しておくべき具体的なポイント
を、解説します。
※本記事は2025年11月時点の報道・公表情報に基づく一般的な解説です。
実際の申請にあたっては、必ず最新の出入国在留管理庁の公式情報等をご確認ください。
在留資格手数料の改定スケジュールと金額案
2025年4月1日からの改定内容(すでに施行済み)
まず押さえておきたいのは、2025年4月1日からすでに手数料が一度改定済みである点です。
| 手続きの種類 | 改定前 | 2025年4月1日以降(現行) |
|---|---|---|
| 在留期間の更新許可 | 4,000円 | 6,000円(オンライン5,500円) |
| 在留資格の変更許可 | 4,000円 | 6,000円(オンライン5,500円) |
| 永住許可 | 8,000円 | 10,000円 |
| 再入国許可(1回) | 3,000円 | 4,000円(オンライン3,500円) |
| 再入国許可(数次) | 6,000円 | 7,000円(オンライン6,500円) |
※在留資格認定証明書交付申請(海外から新規にビザを取得するための手続)は引き続き手数料無料です。
次の大幅引き上げ案(3〜4万円/10万円超)とは
現在、政府が検討していると報じられている案の概要は、以下のとおりです。
| 手続きの種類 | 現行(2025年4月〜) | 検討されている案 |
|---|---|---|
| 在留資格の変更・更新(1年以上) | 6,000円 | 3万〜4万円程度 |
| 永住許可 | 10,000円 | 10万円以上 |
ポイントは次のとおりです。
- 現行、在留手続手数料の上限は1万円と規定されている
- 上限を超える金額にするには、法改正が必須
- 政府は、2026年の通常国会に法改正案を提出し、2026年度中の実施を目指す方向で調整していると報じられています
つまり、2026〜2027年度のどこかのタイミングで、在留資格の更新・変更手数料が一気に5倍前後に跳ね上がる可能性がある、というのが現時点の見通しです。
※具体的な金額・対象手続・施行時期は、今後変更される可能性があります。
時系列で見る「いくらになるのか?」
手数料の推移を時系列で整理すると、次のようなイメージになります。
| 時期 | 在留資格の変更・更新 | 永住許可 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 〜2025年3月31日 | 4,000円 | 8,000円 | 旧手数料 |
| 2025年4月1日〜 | 6,000円 | 10,000円 | すでに施行済みの改定 |
| 2026〜2027年度(案) | 3〜4万円 | 10万円以上 | 法改正が前提・検討段階 |
なぜ在留資格手数料がここまで引き上げられるのか
報道などで示されている主な理由は、次の3点です。
国際的な水準との比較
日本の現行手数料(6,000円〜1万円)は、主要各国と比較しても相当低い水準にとどまっています。たとえば、アメリカやイギリスでは就労ビザの申請費用が数万円から十数万円に達するケースも一般的であり、今回の引き上げ案には、こうした国際水準との整合性を図る意図があるとされています。
しかしながら、物価上昇が続く一方で日本の給与水準は米国ほど伸びていない現実を踏まえると、在留資格手数料を大幅に引き上げることには慎重さを欠くとの指摘もあります。費用負担の増加が外国人本人や雇用企業に与える影響を十分に検討すべきだという声も広がっています
在留外国人の増加と受け入れ環境の整備
在留外国人は今年6月末時点でおよそ396万人と過去最多を更新しており、今後も増加が見込まれています。これに伴い、入国審査や在留審査の体制強化日本語教育や多言語相談窓口の充実地方自治体の受け入れ環境整備などに必要な財源確保が課題となっています。手数料引き上げにより得られる増収分を、外国人政策の財源に充てる方針が示されています。
不法滞在・不法就労対策の強化
日本国内には、約7万人規模の不法滞在者がいるとされています。強制送還にかかる費用や退去強制手続の執行体制強化も、大きな財政負担となっているのが現状です。手数料引き上げは、こうした不法滞在対策を含む外国人政策全体の安定的な財源を確保する狙いもあるとされています。
個人・家族への影響と具体的な対策
ここからは、日本で生活している個人・家族の視点で、想定される影響と対策を見ていきます。
家計への影響(シミュレーション)
仮に更新手数料が3万円台に引き上げられた場合、家族で滞在している世帯には一度の更新ごとの負担増が無視できないものになります。
例:4人家族の場合
- 現行(6,000円)の場合
- 6,000円 × 4人 = 24,000円
- 引き上げ後(仮に3万円)の場合
- 30,000円 × 4人 = 120,000円
- 差額:96,000円の増加
家族全員が同じタイミングで更新を迎えるケースでは、1回の更新で約10万円前後の追加負担が生じる可能性があります。
永住許可の検討
手数料の大幅引上げが前提となる場合、永住許可の取得可能性がある方は、早期に検討する価値があります。特に永住許可は更新が不要となるため、長期的な在留コストを大幅に抑えられる可能性があります。
- 更新のたびに複数名分の手数料を継続的に負担するのか
- 一定のタイミングで永住を取得し、長期的な手数料負担を抑制するのか
という「ライフプランとしての判断」が、これまで以上に重要になっていきます。制度改定が本格化する前に、自身や家族の要件がどこまで満たされているかを確認し、早めに選択肢を整理しておくことが望まれます。
個人・家族のチェックリスト
以下のチェック項目に、できるだけ早いタイミングで取り組んでおくことをおすすめします。
□ 年金・健康保険・税金に未納・滞納がないか確認した
□ 転職・転居・婚姻・離婚などの届出義務を守っている
□ 現在の仕事内容が、在留資格の活動範囲から逸脱していないか確認した
□ 次回更新時期と、想定される手数料改定の時期をカレンダーで整理した
□ 永住許可の取得可能性について、一度専門家に相談する検討をした
外国人を雇用する企業への影響と対策
次に、外国人社員を雇用している企業の視点で、コストと実務上のポイントを整理します。
申請費用が人件費・採用コストに与える影響
企業がビザ更新・変更の手数料を負担している場合、その影響はダイレクトです。
例:外国人社員30名を雇用している企業
- 年間の更新対象者:15名と仮定
- 現行(6,000円)の場合
- 6,000円 × 15名 = 90,000円/年
- 引き上げ後(3万円)の場合
- 30,000円 × 15名 = 450,000円/年
- 差額:年間36万円の増加
人数規模によっては、数十万円〜数百万円単位での追加コストとなり、
- 人件費
- 福利厚生費
- 人材採用予算
の見直しが必要になる可能性があります。
在留期間「5年」を取りにいく重要性(カテゴリー対策)
在留期間が1年・3年・5年のいずれになるかは、
- 会社の属性(「カテゴリー1〜4」など)
- 労務管理・納税状況
- 申請者本人が法令を順守しているか
など、様々な要素が総合的に審査され判断されます。
1・2カテゴリーに該当する企業の所属外国人は、5年の在留期間を得やすい傾向にあります。
- えるぼし・くるみんなどの認定取得
- 社会保険・労務管理の適正化
- 外国人雇用状況届出の適切な実施
などを通じて、「更新のたびに3〜4万円を払わずに済む回数を減らす」という視点が極めて重要になります。
在留管理体制の整備と社内フローの標準化
改正案そのものを理由に整備するわけではありませんが、企業としては最低限、次のような体制を整えておくことが望まれます。
- 外国人社員全員の在留期限リストを作成し、最低6ヶ月前にはアラートが出る仕組みにする
- 更新・変更手続の社内チェックリストを作成
- 勤怠・給与の整合性
- 社会保険加入・支払い状況
- 人事情報の変更(部署異動・業務内容変更)の有無
- 現場任せにせず、人事・総務部門が在留管理の窓口として一元管理する
企業向けチェックリスト
□ 自社が負担している在留手続費用(入管手数料+専門家報酬)を把握した
□ 手数料が3〜4万円になった場合の年間コストを試算した
□ 在留期間「5年」を得やすいカテゴリー・認定の取得状況を確認した
□ 外国人社員の在留期限管理の仕組み(リスト+アラート)を整備した
□ リスクの高い案件について、専門家に事前相談する社内ルールを検討した
よくある質問(FAQ)
- 在留資格の更新手数料が3〜4万円になるのはいつからですか?
現時点(2025年11月)では、具体的な施行日は確定していません。
報道では、政府が2026年度中の実施を目指し、2026年の通常国会に入管法改正案を提出する方針とされています。
- 家族のビザ更新手数料も同じ金額になりますか?
一般的に、家族滞在の在留資格も「在留期間更新許可」の手続」に該当します。
現行の手数料は、本人も配偶者も子どもも1人あたり6,000円で、今後の値上げ案が実現すると家族全員分が3〜4万円台に引き上げられる可能性があります。
- 手数料は会社と本人のどちらが負担するのが一般的ですか?
手数料の負担者は会社でも本人でも構いません。実務上は、業種・職種によって運用はさまざまです。
- 手数料が上がる前に永住許可を申請した方がよいですか?
個々の状況に応じて判断する必要があり、一度専門家に相談した上で方針を決めることをおすすめします。
在留資格手数料引き上げ案と今できること【まとめ】
最後に、本記事の内容を簡単にまとめます。
個人・家族向けのポイント
- 2025年4月に一度手数料は引き上げ済みで、さらに2026〜2027年度に大幅値上げ案が検討されている
- 家族で滞在している場合、1回の更新で数万円〜10万円程度の負担増 となる可能性がある
- 将来的に長く日本に住む予定がある方は、永住許可の検討タイミング が以前より重要になる
- 年金・税・保険・届出状況など、永住許可や更新の審査で重視されるポイント を前もって整えておくことが大切
企業・人事担当者向けのポイント
- 手数料引き上げは、人件費・採用コストに直接影響 するため、早めの試算と社内検討が必要
- 在留期間「5年」を得やすくするための カテゴリー対策・労務管理の適正化 は、今後ますます重要になる
- 在留期限管理の仕組み(リスト+アラート)や社内フローを整えることで、
更新忘れや不適切な申請によるリスクを低減 できる - リスクの高い案件については、専門家への事前相談 を社内ルールとして位置づけることも有効
ご不明点や個別事情に応じたご相談がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。